家族持ちでフリーランスは不安?32歳エンジニアが独立前に確認した3つのこと

夜、ぼんやりとスマホに目を落とす。画面にはフリーランスエンジニアの情報が並んでいる。
単価60万。70万。今の給料より、明らかに大きい数字。
「本当にこんなに貰えるのか?でも本当だとしたら生活はだいぶ楽になる・・・」と思った直後、スマホにはフリーランスエンジニアの闇も表示される。
「フリーランスエンジニアは収入が不安定」
「税金や健康保険が高いから会社員と変わらない」
「フリーランスになりたいと家族に切り出しにくい」
こんな情報を目にして、
で、結局何もできずにスマホを閉じて寝る。明日も同じ会社に出勤する。
僕はこれを何十回も繰り返しました。32歳、妻と二人暮らし、手取り月32万円の頃の話です。
先に、この記事の結論を言います。
家族持ちでフリーランスが不安なのは、当然です。
そしてその不安は、気合いでは消えません。消す必要もありません。
「生活費」「単価相場」「案件が途切れたときの備え」の3つを数字で確認すると、不安は「漠然とした恐怖」から「判断して戦える相手」に変わります。
僕は結局不安を抱えたまま見切り発車でフリーランスエージェントに登録し、あれよあれよという間に案件が決まって会社を退職しました。今考えてもこの時の判断は正しかったと思っているし、また子供ができる前で良かったとも思っています。
そのぐらい大雑把な考えでも食っていけてるのは事実ですが、不安なもんは不安ですよね。
けれどその不安はできるだけ小さくすることは可能なんです。
この記事では不安を解消するために当時の僕が独立前に確認した3つのことを、実際の数字を使って事実ベースで紹介します。同じようなフリーランスになりたいけど二の足を踏んでしまっている方の参考になれば幸いです。
家族持ちでフリーランスになるのが不安なのは当然です
家族がいる状態のフリーランスで不安に思うことはなんでしょうか?
僕は以下の3つだと思っています。
- 生活費:独身と比べて家族がいる場合は生活費の負担が大きい
- 単価相場:今の給料より下がってしまうと生活が苦しくなる
- 案件の継続性:案件が途切れると収入がストップする

独身ならフリーランスの失敗は無いようなものです。ちょっとぐらい案件が途切れてもその月少し我慢するだけで済むから。
だけど家族がいるとそうはいきません。
自分の肩には家族が乗っています、自分が転んでしまうと痛いのは自分だけじゃない。
だから足がすくむ。これは臆病ではなく、正常な感覚です。
でもこの「なんとなく怖い」という漠然とした不安は、知識をつけ自分を知ることである程度解消できます。
- 生活費:毎月いくらあれば、生活が崩れないのか
- 単価相場:自分のスキルに、市場はいくらの値段をつけるのか
- 案件の継続性:仕事が途切れたとき、持ちこたえられるのか
僕も妻がいる状態で、フリーランスになるのが怖かった
偉そうに書いていますが、当時の僕は典型的な「動けない側」の人間でした。
朝のぎゅうぎゅう詰めの電車。つり革につかまってSNSを眺めていると、「フリーランスエンジニア、月単価80万」みたいな投稿が流れてくる。
「どうせポジショントークだろ」と鼻で笑う反面、心のどこかで、ずっと引っかかっていました。
もし本当に今より収入が増えるなら・・・、今の手取りでは生活が苦しいし月の支払いをカードローンで凌ぐこともある。
昇給は雀の涙。5年後の自分を想像しようとして隣の席の先輩の背中が目に入り、そっと目をそらす。そんな毎日です。
フリーランスのエンジニアってどのぐらい儲かるんだ?どんな仕事をするんだ?日に日に興味関心は大きくなっていきました。それでもすぐには動けなかった。理由は2つあります。
ひとつは、僕にとってフリーランスが得体の知れないものだったこと。
新卒で会社に入り、転職も経験しましたが働き方は全部正社員です。
案件はどうやって決まるのか、仕事の内容は?税金を自分で払うらしいがいくらをどうやって払えばいい?
中身を何ひとつ知らないから、怖い。暗闇が怖いのと同じ理屈です。
もうひとつは、家族の存在です。
自分ひとりなら「失敗したら繋ぎでバイトでもすればいい」と開き直れます。でも僕の口座から引き落とされる家賃と生活費は、僕ひとりのものじゃない。「無責任なことはできない」という気持ちが、興味に毎回ブレーキをかけていました。
それでも僕はある程度は勢いでフリーランスエージェントに登録し案件を探しました。
けれどその前にできる限りの情報収集はしたつもりです。とりわけ案件を決める・仕事を辞めるというターニングポイントでは調べられることは調べたつもりです。
独立前に確認したこと①:毎月いくらあれば生活が崩れないか

確認の順番は上の図解のとおり。最初のステップは地味な作業です。
「うちは毎月いくらあれば生活できるのか」
- 家賃・光熱費・通信費
- 食費・日用品
- 保険料
- 急な出費(冠婚葬祭・家電の故障など)の余白
これらを知っておくことで、どれぐらいの単価の案件なら生活が大きく変わらないのか判断できます。
注意点として、フリーランスの収入を「売上」で見ないことは必要です。売上から税金・国民健康保険・国民年金などが引かれるからです。
なので最後に生活に残るお金で考えます。ここを勘違いすると、「月50万!余裕じゃん!」と思っていたら色々引かれて最終的には会社員時代より手取りが低くなる・・・なんてことも起こりうるからです。
とはいえ細かい税額計算まで独立前にやり込む必要はありません。
目安はシンプルで、案件の月単価が「今の月の手取り」の1.5倍以上あれば、税金と国保を払っても生活水準はまず変わりません。むしろキャッシュフローが良くなる分生活が楽になったと感じるかもしれません。
僕の実数を使った試算は「フリーランスエンジニアの手取りはいくら?手取り月32万円だった僕の実例」の記事にまとめているので、ぜひ参考にしてください。

前述の通り、僕自身は結構勢いに任せてフリーランスエージェントに登録したところがあります。見切り発車ってやつです。
生活はギリギリで貯金はほぼゼロ。教科書どおりに言えば「生活防衛資金を貯めてから独立」が正解なんでしょうが、僕はそれを待ちませんでした。それでも大丈夫だったんです。生活費のラインと単価の目安、この2つだけは押さえていたから。
完璧な準備が整う日は、たぶん来ません。興味があって迷っている状態なら、貯金が貯まるのを待つより、動き出して数字を確認するほうがずっと重要です。動き出すといっても、いきなり退職ではありません。
自分にいくらの値札が付くのか、「単価の確認」からです。
独立前に確認したこと②:自分のスキルに月いくらの単価がつくか
次に確認する必要があるのは自分の値段です。
考えてみると、会社員は自分の値札を確認する機会がなかなかありません。
転職では自分の市場価値を意識することになるのは同じですが、フリーランスの方がもっと確認機会が多いことは事実です。
また、給料は「福利厚生なども含めたトータルで見るもの」であって、「市場がつけたダイレクトな値段」ではないんです。
フリーランスの単価相場は調べられます。たとえばレバテックフリーランスの公式データでは、利用者の平均年収は881万円(月あたり約73万円)。
「いやいや、平均881万はさすがに出来すぎでは」と思いますよね。僕も半信半疑でした。
しかし実際にエージェントへ登録して、自分の単価を直接確認し、結果、独立直後で月単価60万円、その後あれよあれよという間に月単価75万円になりました。利用者の平均年収は本当だったんだ・・・と。
会社員時代の手取りが月32万円だったので独立直後で約2倍。しかもレガシー寄りの技術しか持っていない僕に、です。もっとモダンな技術が扱える人なら初手で70万円以上いくかもしれません。
大事なのは、単価相場の確認は独立を決めてからやることではありません。独立するかどうかを決めるためにやることです。退職届を出す前に、自分の値札を見る。この順番が正解です。
「レバテックフリーランスの単価は実際いくら?月給32万の僕が月単価60万になった話」の記事では単価について更に深堀りしていますのでこちらもどうぞです。

独立前に確認したこと③:案件が途切れたときの備えを作れるか
家族持ちが一番恐れているのは結局これだと思います。収入ゼロの月ができること。
今まで当然のように入っていた給料がゼロになる。
家賃、電気代、クレカの支払い・・・これらに対応できなくなる恐怖。
僕は防衛資金ゼロの見切り発車でスタートした側の人間です。それでも「案件が決まってから辞める」という順番だけは死守しました。収入が途切れない形で移行してしまえば、防衛資金は独立後からでも間に合います。
また、案件切れの備えとして僕がやったこと・今もやっていることは3つあります。
- エージェントを複数登録しておく(僕は独立時に2社。1社の案件が途切れても、別の窓口が残る)
- 生活防衛資金を作る(独立後に最優先で確保しました。目安は生活費の数ヶ月分)
- 契約更新の意思確認を早めにやる(更新月の直前に慌てない)
「途切れたらどうしよう」への現実的な備えは、1本の記事として独立させて書きました。家族持ちなら、ここは読んでおいて損はないはずです。
→ フリーランスは仕事が途切れたらどうする?家族持ち6年目の現実的な備え
子どもが生まれる前に動いておいてよかったと思う理由

僕がフリーランスになったのは2020年、32歳のときです。そして独立から半年後に妻の妊娠がわかりました。
このタイミングは、狙ったわけではありませんが、あとから振り返るたびに思うことがあります。
もし独立を1年先延ばしにしていたら、僕はたぶん一生動けなかった。
妻のお腹に子どもがいる状態で、「会社を辞めて独立する」と言い出せたか?
無理とは言いませんが難しくなっていたのは確実です。人は守るものが増えるほど変化の判断が重くなります。失敗が許されないからです。
妻と二人だったからこそ、「最悪、二人でなんとかしよう」と思えました。
だから「子どもが生まれる前にフリーランスになるのは無謀」という意見には、実体験として逆だと言えます。身動きできるうち、体が軽いうちのほうが、確認も、挑戦も、撤退も圧倒的にしやすい。
- 家計がシンプルで、生活費の最低ラインを出しやすい
- うまくいかなかったとき、正社員に戻る判断がしやすい
- 妻とゆっくり話し合う時間を確保しやすい
誤解しないでほしいのですが、これは「子どもがいたら手遅れ」という意味ではありません。子どもが生まれたあとも、フリーランスとして家族を養えている今の僕がいます。今からでも遅くはない。ただ、動くのは早ければ早いほど、選べる選択肢が増える。それだけの話です。
妻を説得するより、数字を一緒に見られる状態にする
「家族にどう切り出すか」。ここで止まっている人は多いと思います。
僕の答えはシンプルで、説得しようとしないことです。説得という言葉には「反対される前提」が入っています。プレゼンで妻、家族を言い負かしても、家庭に残るのは勝ち負けのしこりだけです。
僕がやったのは、生活費と単価相場を確認したうえで、その数字を妻とそのまま共有することでした。
「フリーランスになりたい」という感情ではなく「今の手取り、案件の単価、毎月の生活費はこれくらい、途切れたときはこう動く」という材料を渡す。
そのとき妻がくれた言葉を、今でも覚えています。
「挑戦しないで後で後悔するよりは、失敗したとしてもやってみた方が良いんじゃない?」
肩の力が抜けるくらい、前向きな反応でした。妻の性格に助けられた部分は間違いなくあります。それでも、もし僕が数字を何も持たずに「フリーランスになりたいんだよね」とだけ言っていたら、返ってくる言葉は違ったはずです。渡したのが夢ではなく判断材料だったから、妻も一緒に判断できた。そう思っています。
家族と共有する数字は、この5つで足ります。
- 今の手取り
- 毎月の生活費
- フリーランスの想定単価(エージェントで確認した実際の数字)
- 税金・国保の見込み
- 収入が途切れたときの備え
らんこ家族には『感情』ではなく『数字』で話すのがコツですよ
家族持ちフリーランスに向いている人・まだ待ったほうがいい人
自分がどちら側か、チェックしてみてください。
確認を進めていい人
- 今の給料のままでは、将来の家計に限界を感じている
- 実務経験があり、単価相場を確認する価値がある
- 在職中に、退職せず準備を進められる
- 生活費やリスクを家族と共有できる関係がある
ちなみに、「会社が嫌だから」という動機でも僕は全然いいと思っています。嫌なものは嫌。その気持ちに蓋をして消耗し続けるより、転職なりフリーランスの検討なり、ネガティブなパワーを行動に変えてしまったほうがずっと健全です。実際、僕を動かしたのも閉塞感と生活の苦しさでした。
まだ待ったほうがいい人(と、先にやること)
- 毎月の生活費を把握していない人 → 今月の支出をざっくり書き出すだけでOK。休日の1時間で終わります
- 家族に何も話していない人 → いきなり「独立したい」と切り出さなくて大丈夫。「フリーランスの単価を調べてみてる」の一言で十分です
「待つ」といっても、年単位の話ではありません。どちらも今週中に片付くことです。片付いたら、あなたも「確認を進めていい人」側に移れます。
そして、会社員でいること自体は家族持ちにとって立派な戦略です。慎重さは弱さではありません。
いきなり辞めなくていい。在職中に単価相場を確認するところからでいい


最後に、僕が実際に動いた順番を書いておきます。上の図解のとおり、全部、会社員のまま進めました。
- エージェントに登録する(僕は2社)
- 登録から1〜2週間で、企業2〜3社と商談
- 登録から約2週間で案件決定
- 案件が決まってから退職届を提出、2週間で退職
- 登録から参画開始まで、通算約1ヶ月
退職から参画までの空白は、税務署に開業届を出しに行った数日だけ。無収入の期間はほぼゼロでした。
逆に言うと、退職を決める前にできることが、この5つのうち3つもあります。登録して相場を聞くことは、独立の決定ではありません。「案件を見るだけ」「単価を聞くだけ」でも、家族と話すための材料は十分すぎるほど手に入ります。
面談で何を聞かれるか不安な人、登録だけで営業がしつこくならないか気になる人は、こちらでリアルを書いています。
→ レバテックフリーランスの面談はどんな感じ?実際に受けた流れと準備すべきこと → フリーランスエージェントに「登録だけ」して使わないのはアリ?6年使った僕が答えます







まずは相場を聞くだけでも、見える景色が変わりますよ
💡 会社を辞める前に、自分の単価相場だけ確認しておく
相談したからといって、独立を決める必要はありません。僕も会社員のまま登録して、単価を聞いてから妻と話しました。今の経験にいくらの値段がつくのか、家族と話す材料として知っておいて損はないです。
まとめ:家族がいるからこそ、早めに数字で確認しておく
家族持ちでフリーランスが不安なのは当然です。僕の場合、その不安を小さくしてくれたのは以下の3つの数字です。
- 生活費:毎月いくらあれば崩れないか
- 単価相場:自分のスキルにいくらの値段がつくか
- 備え:途切れたときに持ちこたえられる形を作れるか
得体の知れなかったフリーランスも、中身を暴いてしまえばただの働き方のひとつでした。
僕が「動いてよかった」と思っているのは、独立そのものより、子どもが生まれる前に判断材料を集め動いたことです。材料が揃っていたから、妻と前を向いて話せたし、案件が決まってから安心して会社を辞められました。
会社は、明日辞めなくていい。まずは会社員のまま、自分の単価相場を確認するところから始めてみてください。
複数のエージェントを比較してから決めたい人は、「30代エンジニアにおすすめのフリーランスエージェント5選|家族持ちの僕が本音で比較」でまとめています。








