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管理職になりたくないエンジニアへ|管理職にならず月収を上げた僕の選択

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管理職になりたくないエンジニアに向けた記事のアイキャッチ。昇進の階段を選ばず、手取り月32万円から月単価75万円になった実体験を強調している。

「進捗、どうですか」

この一行を打っては消して、また打ち直していた時期があります。

チームの誰かの作業が遅れている。締め切りは動かない。どこかで僕が引き取らないと間に合わない。分かっていたのに、送信ボタンが押せない。

細かく聞けば「詰められている」と思われるかもしれない。かといって黙って作業を引き取れば、「もう任せられないと諦められた」と受け取られるかもしれない。

技術の問題なら、どこかに答えがあります。でもこれは違う。いつ、どんな言い方で聞いて、どのタイミングで手を出すか。そこに一番神経を使っていました。

当時の僕は、肩書きのないチームリーダーでした。

先に断っておきます。僕は昇進を打診されて、それを蹴ってフリーランスになったわけではありません。そんな劇的な場面はなかった。ただ、肩書きのないままチームをまとめる立場は経験したし、周りの管理職がどう働いているかも毎日見ていた。そのうえで、自分が続けたい仕事はこっち側じゃないな、と思うようになった。

結果として僕は、管理職にならないまま収入を増やしました。 会社員時代の手取りは月32万円。いまはフリーランスとして、月単価75万円で働いています。

管理職になりたくない。その気持ちは甘えじゃありません。ただ、「なりたくない」という感情だけで進路を決めるのは、もったいない話でもあります。

目次(クリックで読みたいところから読めます)

管理職になりたくないエンジニアは、あなただけではない

レバテック調査によるIT人材の管理職意識。今後管理職になりたい人は15.7%、なりたくない理由の最多は責任やストレスの増加で48.4%、現管理職の24.1%が続けたくないと回答している

まず、数字を1つだけ。

レバテックがIT人材3,000名に行った調査では、**現在管理職に就いていない人のうち、今後管理職になりたいと答えたのは15.7%**でした。なりたくない理由の最多は「責任やストレスを感じることが増えそうだから」で48.4%。しかも、現に管理職に就いている人の24.1%が「続けたくない」と答えています。

出典:レバテック「管理職に就くIT人材の約4人に1人が『管理職を続けたくない』と回答」(調査時期:2024年11月、IT人材3,000名/企業担当者1,000名対象)

「なりたい」と手を挙げる人は、6人に1人しかいない。ただ、僕がこの調査で引っかかったのは割合のほうではありません。なりたくない理由のトップが「技術が好きだから」ではなく「責任とストレス」だった、こっちです。

つまり多くの人は、仕事の中身を吟味した結果というより、増えそうな負荷への警戒で「なりたくない」と言っている。僕も最初はそうでした。

らんこ

気持ちで決める前に、中身を見てからでも遅くないですよ

感情を否定する必要はないです。ただ、その感情を判断材料に変える作業だけは、やっておいて損がない。

チームリーダーを経験した僕が、管理職を希望しなかった3つの理由

会議と調整が仕事の中心になるのが嫌だった

冒頭の「進捗、どうですか」の話に戻ります。

あのとき僕がやっていたのは、技術の仕事ではありませんでした。相手の状況を推し量って、言い方を選んで、手を出すタイミングを測る。最終的に自分が作業を巻き取って、締め切りに間に合わせたこともあります。

これ、逃げたわけじゃないんです。むしろ技術力とはまったく別種の難しさがあると実感した。うまい人は本当にうまい。僕は下手でした。

ただ、下手だから避けたというより、この判断と気遣いを1日の中心に据えたくなかった。周りの管理職を見ると、進捗管理と報告会議がスケジュールの大半を占めています。あれが自分の標準になるのか、と思ったとき、気持ちが乗らなかった。

家族との時間を減らしたくなかった

人がまばらになったフロアで、部長がまだ画面に向かっている。あの光景を、何度も見ました。

責任が増えて、休日にも連絡を受けるようになった人もいました。全員がそうだったとは言いません。あくまで当時の職場で、僕の目に入った範囲の話です。

でも、家族がいる身としては、昇進で増える給与より先に、増える拘束時間のほうが目に入った。給与がいくら上がるのかは、正直よく分かっていなかった。分からないまま、時間だけが確実に削られる絵が浮かんでしまった。

割の良い取引に見えなかった、というのが率直な感覚です。

コードを書く時間を手放したくなかった

僕が続けたかった仕事は、はっきりしています。コーディング、設計、技術調査。この3つです。

管理職になったら必ずコードを書けなくなる、なんてことはありません。書いている人もいます。ただ、僕の周りに限れば、役職が付いた人ほどエディタを開く時間は短くなっているように見えました。実際に何時間減ったのかは分かりません。見えていたのは、会議室に呼ばれる回数のほうです。

らんこ

管理職になりたくない、はワガママじゃないです

管理職にならずに収入を上げる3つの道

管理職にならずに収入を上げる3つの選択肢の比較。社内の専門職コース、技術者を評価する会社への転職、フリーランス転向を、技術を続けやすいかと収入の伸びやすさで並べた比較カード

昇進しない場合に残る道は、大きく3つです。

選択肢技術を続けやすいか収入の伸び方家族持ちの注意点
社内で専門職を目指す制度があるかどうか次第給与テーブルの上限まで生活は変わらないが、席が用意されているとは限らない
技術を評価する会社へ転職比較的続けやすい転職先の水準に置き換わる正社員の安定は残るが、やり直しは効きにくい
フリーランスになる案件と役割による単価に直接反映される案件切れ・税務・保障を自分で持つ

ただ、これは外から見た整理です。社内にいた人間の肌感覚だと、もう少し生々しい。

専門職コースは、リスクが低い代わりに「その制度、うちにありますか」から始まる。制度があっても枠が空いていなければ絵に描いた餅だし、上司に「昇進じゃなくて専門職で」と切り出すのは想像以上に言い出しにくい。

転職は、年収がいくら上がるかより「合わなかったときに戻れない」のがしんどい。30代で家族がいて、短期間に2回動くのはかなり勇気が要ります。

そして3つめ。僕がここを選んだ理由は、身も蓋もない話ですが金額でした。

管理職にならなくても、手取り月32万円から月単価60万円になった

僕がフリーランスになったのは32歳のとき。役職はありませんでした。

会社員時代の手取りは月32万円。独立して最初に決まった案件が、月単価60万円。いまは月単価75万円です。

念のため書いておくと、手取りと単価は別物です。60万円から税金と社会保険料と経費が引かれるので、そのまま「倍になった」とは言えません。それでも、役職の席がひとつも空いていない状態から収入が動いたのは事実です。

正直、60万円と提示されたときの記憶は薄いです。金額よりも、初めてのフリーランスへの期待と不安のほうが大きくて、数字を味わう余裕がなかった。

実感が来たのは、最初の報酬が口座に振り込まれた日。並んだ数字の大きさに、素直に驚きました。

税金と社会保険を引いたあとの現実的な数字は、フリーランスエンジニアの手取りはいくらになるのかで計算しています。ちなみに独立時の僕はGit・AWS・Vueすべて未経験でした。モダンな技術で武装していたから単価が付いたわけではない、という話はフリーランスエンジニアに必要な技術力のほうに書いています。

フリーランスになっても、会議と進捗管理は消えない

フリーランスになれば調整業務から解放される、というのは幻想です。

僕はいまもプレイヤー側の業務が中心ですが、案件単位の会議には出るし、進捗の報告も共有もします。開発を前に進める以上、人と話さずに済む仕事なんてありません。

違うのは、その調整が「組織を運営するための仕事」なのか、「自分の開発を進めるための仕事」なのか、という点です。

  • 管理職:チームの評価、育成、人の配置、組織としての責任が主業務になる
  • 業務委託:開発を完了させるために必要な範囲で会議と調整をする

この差は、体感するとかなり大きい。ただ、ゼロにはならない。「人と関わるのが一切嫌だ」という理由で独立を考えているなら、期待した場所とは違うと思います。

それでも、管理職になったほうがいいエンジニアはいる

管理職という仕事を、僕は下に見ていません。あの判断と気遣いを毎日こなせる人は、シンプルにすごいと思っています。

昇進して事業に影響を与えたい。人が育つ過程にやりがいを感じる。組織の責任と権限を引き受けたい。そう思えるなら、迷わず進むべきです。

ひとつだけ添えるなら、昇進と一緒に、責任も会社への帰属も強くなります。それとプライベートが両立できるなら、何の問題もない。私生活のほうがないがしろになりそうなら、管理職以外にも給料を上げる手段がある。それだけの話です。

否定したいのは管理職じゃなくて、「昇進しか道がない」と思い込んだまま身動きが取れなくなる状態のほうです。

管理職の話が来る前に、4つだけ確認しておく

打診されてから3日で答えを出すのは、けっこう無茶です。先に手元を整えておくと楽になります。

  • 増える仕事は、自分がやりたい仕事か
    進捗管理、報告会議、顧客調整、人事評価。この中に「やってみたい」が1つもないなら要注意
  • 給与・手当・労働時間がどう変わるか
    想像ではなく、就業規則と給与規程で確認する。労働基準法上の管理監督者に当たると、労働時間・休憩・休日の規定が適用されなくなります
  • 家族との時間を守れるか
    帰宅が1時間遅くなる前提で、生活が回るかを計算してみる
  • 専門職・転職・フリーランスなら、いくらになりそうか
    これだけが社内では調べられません

出典:厚生労働省「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」

2番は思い込みで判断されがちですが、管理監督者かどうかは役職名ではなく実態で決まります。名ばかりで負荷だけ増える構図もあるので、規程を読む価値はあります。

そして4つめ。社内の給与テーブルは調べられても、社外の自分の値段だけは、外に聞かないと分からない

会社を辞めなくていい。先に自分の単価だけ確かめる

会社員のまま自分の市場単価を確認する3ステップ。エージェントに登録し、経歴を伝えて単価の目安を聞き、昇進後の条件と数字で比較するまでの流れ

僕が独立を決めたときも、順番はこうでした。エージェントに登録して、案件と単価を確認してから、退職届を出した。 逆はやっていません。

登録した時点でやったことは、「いまの経験で、いくらの案件があるか」を聞いただけです。独立を決める行為ではありません。

正直、僕も登録前は少し身構えていました。電話が鳴り止むのが怖い、みたいな話ではなく、ちょっと興味があるだけの自分と、案件を決めたいエージェントの温度差で、気まずいことになるんじゃないかという警戒です。実際には、その温度差は感じませんでした。連絡はほぼメールで、頻度もこちらから指定できた。

📩 登録だけして、しつこくされないのか気になる方へ

案件を受けるつもりがない段階で登録するとどうなるのか、営業はどれくらい来るのか。6年使ってきた実感をそのまま書いています。

「登録だけ」した場合の実際を見る →

聞いた金額が期待より低ければ、社内でキャリアを組み立て直す判断ができます。高ければ、選択肢が1つ増える。どちらに転んでも、判断材料が手に入るだけです。

どのエージェントに聞くかで紹介される案件は変わるので、比較したい場合は30代エンジニア向けのエージェント比較も参考にしてください。

まとめ|管理職にならなくても、給料を上げる手段はある

  • 管理職を望まないIT人材は多数派。ただし理由の多くは「責任とストレスへの警戒」で、中身を見てから判断しても遅くない
  • 昇進して活躍したいなら進むべき。責任と帰属が強まった先で私生活が回るかだけ、先に確認する
  • 管理職以外の道は3つ。社内の専門職、技術を評価する会社への転職、フリーランス
  • 僕は役職の席がないまま、手取り月32万円から月単価60万円、いまは75万円になった
  • ただしフリーランスでも案件単位の会議と進捗管理は残る。人と関わらない働き方ではない

「進捗、どうですか」を打っては消していたころの僕は、自分の市場価値を知りませんでした。知らないまま、選べる道は昇進しかないと思い込んでいた。

管理職になりたくない自分を責める前に、会社の外で自分の経験にいくらの値段が付くのかを、一度だけ確かめてみてください。答えを見てから決めても、何も遅くありません。

管理職になりたくないエンジニアに向けた記事のアイキャッチ。昇進の階段を選ばず、手取り月32万円から月単価75万円になった実体験を強調している。

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